だって。
もう少ししたらやっと、氷室さんに会える。
ようやく、話しをすることができる。

気になること、不安、恐怖、不満……。
それらを全部確かめて、もう一度あたしを安心させてほしい。
ぎゅっと、抱きしめてほしい。

考えれば考えるほど、胸は強く鼓動を刻んで。それと連動するように頭をよぎった鈴木さんの姿に、思わずブレザーとブラウスの胸元を握りしめる。

そんなあたしを不審に思ったのか、隣を歩く世奈がぴたりと歩みを止めた。


「……何?」

「いや、何?じゃないわよ。何か変。顔色も悪くなったみたいだし……。調子悪い?」


心配そうに首を傾げ、あたしの顔を覗き込む世奈に、心配はいらないという言葉の代わりに小さく笑みを返した。


「…そ?ならいいんだけど。」


再び足を進めた世奈の背中を見て、ふっと息を吐く。世奈の問いかけには特に何も答えなかったけれど、考えるだけで具合が悪くなるなんて、あたしは相当鈴木さんが苦手になってしまったらしい。