「……ごめん、紫音。あんたも自分のことで大変なのに、こんな話しちゃって…。」

「気にしないでよ、そんなこと。不安になる気持ち、わからない訳じゃないし。」

「そっか。ありがとう。」


にこっと笑う世奈につられ、あたしからも笑みが零れる。そして、再び手にした烏龍茶を、一息つくように口に含んだ。

――刹那、


「紫音は、どうするつもり?」


あまりにも唐突に投げ掛けられた問いに、一瞬理解が追いつかなくて。「何を?」なんてマヌケな質問を返してから、昨日の件に関連してのことだと思い至る。


「何を?じゃないでしょ。氷室会長とのことよ。昨日あのあと、ちゃんと話したの?」


そして、予想通りに返ってきた答えに、改めて思い出される昨日の状況。蘇る不安と恐怖に、少し頬が引き攣ったのがわかった。