そしてその虚しさとともに、胸に渦巻くモヤモヤ感……。
それが、鈴木さんへの醜い嫉妬や嫌悪感だということも、氷室さんへの僅かな不満と疑心だということも、あたし自身の恐怖だということも。
そんなことはわかっているのに。
でもだからこそ、会って、話して、ちゃんと確かめたい。
そしてもう一度、「大丈夫。」だと言って、あたしを安心させてほしいの。
「……本当に、隼人と紫音の間には何にもないの？」
自分の中に渦巻く、形容しがたい気持ちに思いを馳せていたあたしは、窺うようにあたしを見つめる世奈の問いにより現実に引き戻されて。
「そーだって。何回言わせるの。あたしと隼人はいとこ、それ以上でも以下でも無い。」
そう毅然と言い放てば、まるで緊張の糸が解けたかのように緩んだ、世奈の表情。どうやら解けたらしい誤解に、ほっと胸を撫で下ろした。
