「ただ、あたしと隼人は付き合いが長いだけ。だから隼人が今あたしに感じてるのは、あいつの優しさからくる同情にしかすぎない。あんな単純馬鹿だけど、たまには頼りになるし、世奈にはべたボレなのよ、本当は。」
ちゃんと、あたしの気持ちと隼人の気持ちが世奈に伝わるように。
諭すように、ゆっくり、それだけを告げた。
でも、だって、本当に事実はそれだけ。
ただ、隼人が大事なことや本当の想いを言えないヘタレなだけであって、あたしへの優しさや同情なんかとは比にならないくらい、ちゃんと世奈を想ってる、愛してる、誰よりも。
世奈もそんな隼人と同じ気持ちだったということは今日知ったけれど、あたしが心配する余地もなく、二人はしっかり繋がっていたじゃないか。
羨ましい、な。
そう思うと同時に、今現在の自分の恋愛状況がふと脳裏をよぎり、何だかとても虚しくなった。
