「誤解って……」

「あたしと隼人はさっきも言った通り、ただのいとこでしかないの。隼人もあたしも、お互い相手に対しての恋愛感情なんて持ち合わせていない。」


あたしの言葉に未だ合点がいかないのか、世奈が難しい顔をしているけれど。


「第一、隼人には世奈、あたしには氷室さんがいるじゃない。」


駄目押しで、諭すように言い放ったその言葉に、世奈は何かを考えるように口を噤んだ。

そして刹那、


「……でも確かに、二人で抱き合っていたでしょう?恋愛感情が無いなんて嘘よ。もし仮に紫音に無くたって、隼人にはあるかもしれないじゃない。」


先程よりも若干強まった世奈の声が、昼時で騒々しい軽食喫茶に響く。いきなりのことで驚いたのか、あたし達に集まる好奇の視線。それが再び散るのを待ち、あたしが先に口を開いた。