だから、世奈の不安や不審を無くすため、とりあえず微笑んではみたけれど。

しばらく見つめ合いが続いたかと思えば、不意に世奈の方から視線を逸らす。そして気まずそうに間を空け、再び言葉を零した。


「…………し、……だよね。」

「……え?」


思わずそう聞き返してしまったのは、世奈の言葉が聞こえなかったからではない。
ただ単純に、世奈の言葉に理解が追いつかなかったから。


「あたし、見ちゃったんだよね。昨日。」


そして、再び改めて発された言葉に、あたしの眉間のシワが深くなったのがわかる。
だって、見 ち ゃ っ た、って何?何を?


「何……を?」


掠れる声でそう問いかければ、世奈の視線はようやくあたしを捉えた。視線が絡まった刹那、大きく世奈が深呼吸して。

何かを覚悟したような、決意したような、そんな表情で息を吐く。それを見たあたしは、ゴクリと唾を飲みこんだ。