車に乗った俺たちは、この辺では有名な夜景スポットへ。
展望台へ上る階段では文句を垂れていた原も、頂上へたどり着くなり「すげー」と叫びながらサオリを引っ張りはしゃいでいる。
再び二人になった俺たちは、静かに欄干から夜景を臨んだ。
「ねぇ、歩」
「ん?」
「あたし、モデルなんてできるかな?」
恵里は欄干の手すりに腕とアゴを乗せて遠くを見つめている。
「嬉しいんだけどなんか自信がなくて。だから歩に言うのも恥ずかしかったの。お前にできるわけないって笑われるって思ってた」
「バーカ。被害妄想激しすぎだっつーの」
誰よりも恵里が輝いて見えてるこの俺が、そんな風に思うわけがないだろう。
むしろ、恵里なら当然だと思ってるくらいだ。
「歩だって、被害妄想だったじゃん」
ああ、確かに。
「俺だってなぁ……自信がねぇんだよ」
「何の自信?」
「恵里に……好かれてる自信」