言い訳になるだけかも知れないが、最初は決して覗こうとしたワケじゃなかった。


ある日、夜中まで勉強をしていた、いや勉強する振りをしていた広幸が、一階のトイレに行って戻ってきた時、向かいの姫子の部屋のドアが少しだけ開いていたのだ。


声がしたので、無意識に姫子の部屋の方を見た。

広幸の目に映ったのは、ベッドに寝転んで、携帯電話で話してる、下着姿の姫子だった。


広幸は思わず、その場に立ち止まった。


ベッドの上で、ゴロゴロ転がりながら、楽しそうに話す姫子に目を奪われ、動けないでいた。

姫子の白いパンツとブラジャー、胸のふくらみ、丸く小ぶりなお尻、そこから伸びていく太もも。


広幸の目の前で、姫子の身体は艶かしく動いた。


広幸は女の子のそんな姿を見るのは初めてだった。




「はいは~い。じゃあね~。」
姫子がそう言い、電話は終わりそうだった。
広幸は、はっと我にかえり、急いで、音をたてないように向かい側の自分の部屋へ入った。


部屋に戻った広幸の鼓動は激しくなりっぱなしだった。
口は開いたまま、はぁはぁとマラソンの後のように、強い呼吸を繰り返した。


ドキドキしていた。


下着姿とはいえ、姫子のカラダを見てしまった。


姫子は気づいただろうか?


いや、気づいてはいないはずだ。廊下の電気はついてなかったし、おそらく姫子のいた場所からは死角になっていたはずだ。
わかるはずない。


いや、こっちから見えるとゆうことは、向こうからこっちの姿も見えるんじゃないか?


いや、気づいたとしたら、姫子なら黙ってはいない。



考え過ぎて頭の中が混乱し、ドキドキは止まらなかった。