それから、頑張ってることを演じ続ける日々が始まった。
毎日、夜遅くまで勉強してる振りをし続けた。
母が寝ただろう時間を見計らって、広幸も眠りについた。
だが、勉強してると思ってる母は、気をつかってか、なかなか寝なかった。
一階の様子を、こっそり窺い、母が寝たかどうかを確認してから、寝ることにした。
母は成績のことについて、何も言わない。気遣いかもしれないが、広幸にはプレッシャーだった。
そんな日々がもうずっと続いてる。
朝起きる度、頭がガンガン痛む。もう何も考えたくなくなる。
母の顔を見るだけで、心臓がバクバクしてくる。
疲れていた。
実際は、かなり疲れていた。
気持ちの中身を、打ち明けられる友達もいなかった。
ずっと孤独なまま、ただ疲れていった。
そんな広幸が心を癒せる存在は、姫子だった。
姫子は、その事は知らない。
広幸の、今の唯一の楽しみは、
姫子の部屋を覗くことだった。