全国大会へは行けなかった。
そして、広幸は野球が出来なくなった。
それから、周りの状況は一変した。甲子園常連校の関係者たちは姿を消した。
好条件での推薦入学が、ほぼ内定していた高校さえも、白紙に戻したいと言ってきた。
広幸は行き場を無くした。
ショックだったのは、広幸を見に来ていたある高校の関係者が、準決勝で広幸の代わりに投げたピッチャーのことを欲しいと言ってきたことだった。
野球部の同級生から、その話を聞いた。
え!?あんなに打たれてたのに?なんで?あの試合に勝てたのは、俺が投げたからだろ!
広幸は納得いかなかった。
学校のなかでも、まわりの見る目は変わった。
ちょっとしたスターだった広幸が、何故かみんなから遠ざけられた。
みんな、広幸にかける言葉が見つからなかったのかもしれない。
広幸は孤独になっていった。