「イチ!!」
「ん、あぁリア…」


俺がぼーっと手帳を見つめていると
後ろのドアが開いて、リアが駆け寄ってきた。


「大丈夫?」
「あぁ。」
「本当?」
「悪かったな、置いてきちゃって。」


俺が苦笑すれば、リアは首を横に振った。


「私は大丈夫だから。
イチ、顔色が悪いわ。」
「俺は平気…あ、や…ちょっと体調悪いから部屋に居るな。」


それだけ言うと、手帳を背中で隠して
与えられた部屋へと行った。
リアが何か言いかけたが
聞いてる余裕がなかった。

何となく
本当に何となくだったが
この日記を見なくちゃいけない気がしてたんだ。

部屋に入るとベッドに座り、再び手帳を開いた。

手帳の文字は間違いなく日本語。
そして保管方法がよほど良かったのか
古いことは古いが、文字が読めないほどボロボロではなかった。


「一体誰なんだ…」


呟いた声は誰への言葉か。
俺は、無意識に次のページをめくっていた。