「俺、文字読めないみたい。
リア、悪いけど読んでくれるか?」


俺が咳払いをし、苦笑すれば
リアはコクリと頷いた。


「えーっと……」


リアはページをめくり始める。
そして、最後のページまで行くと、もう一度後ろからページをめくり始めた。
さらに、また最初のページまで戻って、まためくり始める。


「…リア?」


さすがにそこまで行くと、不安にもなる。
俺を呼び出した魔法陣が無いんじゃないかって。
リアも凄く真剣な表情で、冗談じゃない、ってことだけは嫌でも伝わってきた。


「イチ……」


リアが俺を見つめた。
その目は今にも泣き出しそうなほど、不安の色がうかがえた。


「ない、のか?」


声が震えるかと思った。
だけど、意外とはっきりと声が出た。
俺の言葉にリアはうなだれる。


「…っ……ない、の……」


そして、搾り出すように一言言葉を発した。