目の前に現れたのは、人の良さそうな青年だった。
少しタレ目で、丸っこいメガネをかけているせいだろうか。
その青年は俺の方を見てニコリと笑った。


「イクス館長、こんにちは。」


リアは深々と目の前の青年に頭を下げた。
俺も礼儀かと思って慌てて頭を下げる。


「リアさんは今日もお美しいですね。」


微笑んだまま館長は甘い言葉を吐く。

……好青年かと思いきや
プレイボーイだったか。

俺が苦笑していると、リアは嬉しそうに微笑んで
館長の元に駆け寄った。

一瞬、ムカッとした気がしたが
気のせいだろう。
だって、俺がムカつく理由ないし。


「イクス館長、あの、以前見せていただいた本、もう一度見たいのですが…」
「リアさんのお願いでしたら、喜んで。」


そこで、言葉を切って
館長は俺を見た。


「で、この方は?」


それは確実に敵意を向けられていた。
俺が話せないでいると、リアが館長を見て話し出した。