「ここが…図書館…」


思わず、見上げてしまった。
だって…俺の身長の何倍もの高さの重厚な扉がそこにあったから。


「イチ、行くわよ。」
「あ、待てよ!!」


思わず気後れしてしまっていると
リアはそんな俺を綺麗さっぱり無視して中へと入って行った。
ドアに近づけば、勝手にドアが開く。


「うえっ!?自動だったのかよ!」
「イチってば、何ビクビクしてるのよ。」


いちいちビビッてる俺を見てリアはやっと笑ってくれた。


「別にビクビクしてねーよ!!」


少し見惚れてしまったことが悔しくて
俺はリアの前を歩いた。
そうでもしないと、頬に集まった熱を見られてしまうから。


「待ってましたよ。」
「ひぅっ!????」


図書館に足を踏み入れた瞬間
落ち着いた声が館内に響き渡った。
思わず、ビビッて変な声を上げる俺。
そんな俺の様子なんて気にも留めずに、声の主は目の前に広がる螺旋階段を優雅に下りてきた。