「ねぇ、貴方の名前は?」
「え、あ、俺?
壱です。」


思わず、本名を言ってしまった。
俺ってとことん嘘が苦手な奴。


「イチ?
ずいぶんと大層な名前ね。」
「いや、親が何か一つでも一番になれるようにってつけただけで…
俺自身は至って普通の高校生だよ。」
「うーん。
異世界の話ってよく分からないんだけど、貴方“高校生”って職業なの?」


ん?
何かおかしくないか??
異世界?
さすがに“高校生”を知らない日本人はいないよな。

ま、まさかな…

背中に一筋の汗が流れるのを感じた。
やけに冷たい。
俺は起き上がり、部屋のカーテンを空け外を見た。