「ふふっ、そう。ずっと玄関の前で待っていたの。健気だよね。」


私は何となく笑わずにはいられなかった。



「都子さんを、こんな真夜中に1人で帰すわけにはいかないもんね!しょうがないよ。」


私は、そう言いながら立ち上がる。



「本当、もう大丈夫だから、帰って?」


私は、今出来る最高の笑顔をリョウに見せた。



もう、1人にして・・・。


「出来ない・・・。」


えっ?


「1人になんか出来ない!」


リョウには私の心が見えているようだった。



「俺がずっと側にいてやる。」


「えっ?」


私はその言葉にびっくりする。


それ・・・どういう意味・・・?



しかし、リョウはそれを察したのか、もう1度言葉を選びながら私に言った。


「兄さんが帰ってくるまで・・・俺が一緒にいてやる。」


リョウの笑顔は優しかった。