「うん・・・。でも、ここで待ってる。隆志もう少しできっと帰ってくるから。」


リョウは私のわがままに溜息をつく。



「兄さんと何かあったの?!」


「何もないよ?いたって順調!」


私は泣きながら笑ってみせた。



「じゃあ、何で泣いているのさ!」


「なんだろうね?何もないのに涙が出てくる・・・。きっと幸せすぎなのかな。」



そんな私にリョウはもう一度「部屋に入ろう?」と言った。


今度は私の意見を聞き入れる様子がないリョウ。


私の手をギュッと握り、リョウは私の部屋へと入ろうとした。



「もう、大丈夫だよ?自分の部屋に戻って?」


「大丈夫じゃないだろう!こんな花音残して、兄さん何処へ行ったんだ!」


リョウはさっきまでの落ち着いた声ではなく、何かに怒りをぶつけるように急に大きな声を出した。



リョウ?隆志が何処へ行ったか聞きたい・・・?


「ふふっ、都子さん送りに行った。」


「えっ?都子さん・・・?」



リョウは思ってもみなかった言葉にびっくりしている。


「都子さんがここに来ていたの?」