五月蠅い。」
図書室に居る奴を静かにするのは、図書委員の役目でもある。
面倒臭いんだけど。
俺は大きく溜息をついて、椅子を立ち上がって2人の元にゆっくりと歩き出した。
2人の前に立ち止まって俺は無表情で言い放つ。
「あのさ……いつも言ってるんだけど、五月蠅いから」
「あ……橘君」
俺の声にこいつはまた目に涙を溜める。
だから何で毎回そうやって泣くんだよ。
ただ五月蠅いって言ってるだけなのに……。
また苛々。
「ごめんね明弥。ほら、菜帆。行くよ?」
小さな声で歌唄はニコッと笑って俺に言う。
歩きだす歌唄を見つめて慌てて涙を拭うと、相武は立ち上がって走り出す。