「……って明弥が言ったんだ」
嬉しそうにニコニコしながら笑うのは、あたしの彼氏の櫻田貴。
隣のクラスの明弥が大好きで、はっきり言って彼女のあたしでさえ、嫌気がさす。
一緒に登校して並んで歩いていると、会話はこういう話が多い。
どっちかというと、あたしは聞き役。
あたしの名前は、千田和泉。
読書が好きで図書委員に入って貴に出逢った。
っていうより、同じクラスだから前から知ってたけど。
突然告白されて、一生懸命にあたしに気持ちを伝えてくる貴を見て、可愛いって思って付き合うことになった。
天然でマイペースで、常に笑顔で話しやすい貴は、女子ともよく話す。
本人はそんなつもりは無いんだろうけど、たまにそれが嫌だったりする。
まぁ……そういう性格だからしょうがないんだけど。
本人も悪気無いみたいだし。