なんだ、なかなかやるじゃねーかと、向こうが先輩なのに上から目線で思った俺。

ホント、ヒーローのくせに情けないったらない。・・・・自分の卑屈さ加減にホトホト呆れる。

先輩に気を遣わせちゃうし、聞きたいことも聞けないし。


「はぁ・・・・」


思わずため息がもれた。

本当は、好きなヤツが囲まれてて嫌じゃないですか? とか。

先輩はやっぱり190cmにチョコあげるんですか? とか・・・・そういうことを聞きたい。


いくらヒーローの仮面を被ってみても、実際の中身はこんなんだ。

先輩の笑顔を望んでおきながら、それが俺に向けられるものだったらいいのに・・・・と思ってしまう。


「ハチ? どうかした?」

「あ、いえ、なんでもないっス」

「・・・・そう」


先にモップをかけ終わった先輩がまだの俺を心配してくれる。

けれど、きっと情けない顔をしているはずの俺は、また先輩の顔を見ることができなかった。