それから午前中いっぱい練習は続き、さすがの亜希先輩もヘトヘトになった頃───・・。


「今日はここまで!」


やっと部活が終わった。

男バスのほうも長かった部活がようやく終わったようで、後片付けに取りかかっている。


俺も早く片付けなくちゃと転がったボールを拾い集めていると、ふと顔を上げたときに女子部員に囲まれている190cmが目に入った。

・・・・あ、そっか。

今日はバレンタインだ。

朝までは覚えていたけど、練習ですっかり忘れていた。


遠目から見ても分かる。

なんだよ、鼻の下なんかだらしなく伸ばしやがってさ。ちぇっ。

全部義理だぞバカヤロー!! と、ついつい心の声が・・・・。


「ハチ、手伝うよ」


すると突然、両脇に3個ずつ抱えていたボールの1つを亜希先輩にひょいと奪われた。

いきなりのことで、情けなくも拾ったボールまでボトボトと・・・・。


「ハチ、片付けてんの? 散らかしてんの? どっちですかー?」

「すんません・・・・」


案の定、笑われてしまった。