それっきり会話はなくて、二人肩を並べて、ベンチにただ座っている。
何だか、この少女の隣は酷く安心で心地良い。


ずっとこのままでいたい――――。


そう思っていた俺の耳に幾つかの声が聞こえてきた。


「若!!若頭っ」

「どこにいらっしゃいますか!?」


聞き覚えのある声に、自分の敬称。
慌てたような声に、思わず腰を浮かす。


「…………」


しかし、隣に少女がいるのでまた腰を下ろした。それに気づいた少女は、お迎え?と聞いてくる。


それに頷くと、そっか!と少女は立ち上がった。