「とりあえず、応急処置」
少女によって固定された肩は、止血されたのか血の広がりは止まったようだ。
完璧だった。
俺はまじまじと少女を見た。
細いからだに大きな黒目。こんなものに無縁そうでか弱そうに見えるが、思った以上に肝が据わっているようだ。
「………悪いな」
「?」
「手当て」
「どういたしまして」
ふわっと少女は笑った。
「お前………怖くないのか」
屈託のない笑みを向けられたのは初めてだった俺は、思わず聞いてしまう。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…