じっと少女は俺を見上げた。


「………来て」


少女は服から手を離すと、怪我をしていない方の手を取って、近くにあったベンチへ誘導する。
そこに座らされて、自然と少女を見上げる形になる。


「何をする」

「んー、傷の手当て?」


ポケットから何かを取り出すと、徐に俺の上着を脱がそうとする。抵抗したかったが、そんな力がなかった。


上着を脱がされると、真っ赤に染まったシャツが露わになる。それは今も止まることなく広がっていた。


「酷いね」


少女はポケットから取り出した風呂敷より小さいがそれなり大きなハンカチを広げ、患部を慣れた手つきで固定した。


自分の手が赤く染まるのに何ら抵抗がないようだ。