ふあぁ、と美空は欠伸を一つ。


きっと薬が効いてきたのだろう。


「あぁ、ゆっくり寝ろ」


早く元気になれ。


「………おやすみ、なさい」

「おやすみ」


良い夢見ろよ、と頭を撫でてやると、しばらくすると美空からは規則的な寝息が聞こえてきた。


「………美空」


ふっと笑って、俺は、毛布をかけ直してやり、もう一度頭を撫でて、その額に口づけを落とした。


「………若」


控えめだが真剣な賢の声に呼ばれ、俺は顔を引き締める。


「………何か分かったか」

「………ここより、桜の間で」

「そうだな」


賢の提案に一つ頷いて、俺は立ち上がった。