「お前、来栖組を知っているか」

「来栖、組?」

「あぁ」

「知らない………」


美空は首を左右に振る。


「まぁ、見てわかるように裏世界の家だ。」

「ヤクザ、てこと?」


そうだ、と頷く。


「ヤクザに関わってしまった以上、お前の身にも何かあるかもしれない。」


俺達は常に敵に警戒しながら生きている。隙を見せたらおしまい。特に上にいけばいくほどに危険度は増していく。


「なるべく危険がないように手は回すが、万が一の時もあるからな」


だから、護衛をつける、と言うと、美空はふーんとまるで他人事のよう。


「じゃあ私に危ないことが起きないように賢さんを私につけるってことだよね」

「………そうだ」


一応、わかっているみたいだな。