これは誰だろう、と思う。
これが、先日に出会った少女?


美空の言葉に頭に来た男が、あいている方の手を振り上げる。


「………待て」


ピタリと男の手が止まった。
俺は、土足のまま、家に上がり、男の傍らに立つ。


「あ?そちらより早く来たんだけど」

「その手を離せ」

「は?」

「離せ」


威圧をたっぷり含ませて、睨みながら言うと、パッと男は手を離す。
美空の体はそのまま床に沈む。


「な、なんだよ」

「炯」


俺は男には答えないで入り口に立っていた炯を呼んだ。