「及第点だよ」

「っお前っ」


ガタッと勢い良く立ち上がると、椅子が倒れた。
俺は、胸元から拳銃を取り出し、澪に向ける。怒りで銃を持つ手が震える。
澪は真っ直ぐに俺を見る。


「俺を撃つ?」

「お前が言わなければっ」

「そうだね。だけど言わなかったらこの子壊れてたね」

「っ」


悪知恵を与えたのは澪。だが、美空の行動に目を瞑ったのは俺。


ゆっくりと銃を下ろした。


澪だけを責められない。
俺も同罪なんだ。


「――――ん、」


小さな呻き声が聞こえてきてハッとベッドに目を向けた。


「美空、」


ゆっくりと美空が目を開けた。
ぼんやりと天井を見つめ、暫くしてから、顔だけを動かしてこちらを向いた。


「美空、気分はどうだ?」


目をさましてくれたことにほっとしながら美空に手を伸ばす。