今は落ち着いてベッドで規則正しく呼吸を繰り返す美空。
左手も何針か縫った。
山じぃが言うには目が覚めてからだそうだ。


当分は目は覚まさないだろう。


「………話の続きだ」


広い個室の中、いるのは俺と美空と澪の三人だ。炯には後始末を任せてあるからここにはいない。


「分かってるよ」


椅子の上で片膝を立て、澪は口を開いた。


「俺は、屋敷に来た時からおかしいと思ってた」


それは常に、誰にでも起きることで、若に近づくやつは素性から何から危険じゃないと判断しなきゃ安心出来ない。


「だから、こっそり調べた」


まぁ、俺は常にこっそりと動くからおかしいけどね、と澪は笑う。


「そしたら、まぁ色々出てきたわけ」


生まれから、今までの生い立ち、両親の死の理由、そして来栖組に来た目的。