「きっちり300万、今出してもらおうか?」


300万。
きっと初めはそれ程なかったんだろう。しかし、いつの間にかここまで跳ね上がった。


300万なんて学生の美空に返すことは不可能に近い。


「………は、300万?」


不意に、美空が笑みを浮かべた。
俺は、予想外の事で驚いた。
今までいろんな奴らを見てきたが、借金取りに迫られて笑った奴なんか見たことなかった。


「私が借りたわけないのにどうして私が返すの」


感情の写さない瞳で男を見返す。


「ぁあ?ふざけんなよ?親の尻拭いは子供のお前がするべきだろうが」

「は……私が?私はあいつらの子供なんかじゃない」