その姿は正しく父親のようだ。
「………何笑ってるの?――組長」
じろりと恨めしく見上げる澪に、相変わらず変わらないなと思った。
こいつは、昔から俺に対する接し方を変えない。
「そうしていると、美空の言う通りだな」
「組長までそんなこと!………強ち間違ってはないか……」
「お父さんがダメならパパ?」
「一緒じゃん」
げんなりと肩を落とす澪に俺と美空は顔を見合わせて笑った。
穏やかな時間、温かな時間。
この時間を取り戻すのにはかなりの時間をかけた。
それでも、結果この時間を手にすることが出来たのだ、無駄ではなかった。
例え、何かを犠牲にして成り立つものだとしても。
今、この瞬間に俺の側に美空がいるなら。