美空は、浜辺から上がってきて裸足のまま少し離れた場所にいた俺のところまで駆け寄ってきた。


「龍さんっ」


ポスッと美空が抱きついてきたので抱き止め、背中に腕を回した。ぎゅうっと美空は頬を俺に押し付ける。


「どうした?」

「何となく、抱きつきたかった」


顔だけを上に向けてへへっと照れ臭そうにしながら笑う美空の頭を俺は撫でる。


「そうか」

「姫サン。ちゃんとサンダルはいてよ?怪我したらどうするの」


ため息混じりの声が聞こえたかと思ったら、サンダルを片手にこちらに歩いてくる澪の姿がそこにあった。


「あ、ごめんね。お父さん?」

「まだそのネタ……いい?俺、一応姫サンと同い年なの」


お父さんって言われる年じゃないんだからね、といいながら美空にサンダルを履かせる澪。