「俺は、お前のお陰で今ここにいる」

「………っ」

「お前のあの言葉に本当に救われたんだ」

だのに、美空がいなくなったら俺は、どうしたらいいんだ?


「………」

「お願いだから、美空……」


自分でもびっくりするくらいにの懇願する弱々しい声に、俺は美空に手を伸ばした。正確には、拳銃に。


「美空は何も悪くない。何も悪くないんだ………!!」

「………っ」

「だから、帰っておいで」


ボロボロと涙を流しながら、美空のこめかみから僅かに銃口が離れる。


内心ホッとしながら、拳銃を遠ざけようと、足を一歩踏み出した俺に、美空は、笑った。


「――――ありがとう、龍さん………ごめんね」

「っ美空――――!!」


パァンッと銃声が、冷たい空気の中に響き渡り溶けていった。