「っ」


俺が中に駆け込む前に、中にいた男たちが俺に気づく。


「あれ?あんた来栖の若頭さん?」

「あ?おたくでも借りてたわけ?」


一人の男が、屈む。
そして、うずくまっている美空の髪を引っ張った。


「ぅ……」

「あーあ、せっかくの顔が台無しだ」


相当殴られたのか美空の顔は腫れ上がり、口端からは唇を切ったのか血が流れていた。


「お前のお父さんとお母さんは最悪だな」

「………」

「借金残して姿くらましたんだから」


ピクッと反応して美空はうっすらと目を開けた。