「あの頃は情報を集めるのに必死すぎて気づかなかった。」


冷静ならすぐに見つけられたはずの小さな綻び。
それをほどけば真実が映し出された。


もしかしたら、本当は気づいていたのかもしれない。


「………本当に龍さんがいい人でよかった………」


だから気づけたし手遅れにはならなかったから。


美空は、手の内にある拳銃を遊ばせる。


「でも、あたしがしてきたことは許されるものじゃないと思う」


邪魔ばかりしていたから。


眉を下げる美空に俺は首を振った。


「お前は悪いことなんかしていない」


東組組長に操られていただけなのだから、何も悪くない。


そう言っても美空は、首を振った。