でも、まだ間に合うと思ったから。
「ハッ……」
奴は、乾いた笑みを浮かべると白目を向かせその場に倒れ込んだ。
そしてもう二度と起き上がることはなかった。
「………っ」
「美空、」
だらんと手を下ろし弱々しく銃を握っている美空に近づこうと一歩前に踏み出す。
「若っ」
慌てて炯が支えようとするのを片手で制す。
「俺は怪我していない」
「え……ですが」
「美空」
俺がその背中に言葉を投げると、ピクリと反応した。
「左手………どうして、自分を刺した」
息を飲むのが伝わってくる。
「美空、お前は………」
「あたしの両親はね、殺されたの」
勢いよく振り返りくしゃくしゃに顔を歪めながら美空は、言葉を奏でる。