ゆっくりと美空に視線をやる。
ポタポタと左手を真っ赤に染めながら、右手でナイフを持ち、美空は一筋の涙を流した。
そしてポツリと呟いた。
「ごめんなさい………」
「美空……?」
様子が可笑しい、と思った。
自分が傷を負った訳ではないのに腹部を押さえながら一歩前に進む。
「――――若!!」
ガサガサと音と共に切羽詰まったように俺を呼ぶ声。
それと同時に、美空も動いた。
――――バァンッ
「………は?」
それはほんの一瞬の出来事だった。
間抜けな声を出しながら己の胸元に目をやる東組組長。
そこからは血がダラダラと流れていた。
奴は無意識にそこに手をやる。
ヨロッと一歩後ろに下がった。
「……な……に…」
ギロッと奴が真っ直ぐ目を向ける。