……………え


俺は、恐る恐る下に視線を向ける。密着した距離の僅かな隙間から見えるのは赤。じわじわとそれは俺の服を染めていく。


しかし、


「これで、来栖攻略は目の前だ!!」


アハハッと高笑いをしている奴の声なんてどうでもいい。


「………美、空…?」


声が震えている。
どうして、何故………


「だ、から………ごめんねって言ったよ?」


痛みに歪められた顔。


俺に痛みは生じなかった。
じわじわと染められていく服。それは俺の血では無く………


「あたし……間違ってた」


ザシュッとナイフが引き抜かれドンッと力一杯押され俺の体は数歩後ずさる。


ヨロヨロしながら何とか踏みとどまり、右手で腹部に触れるとドロリとしたものが手に付着した。