普段は炯かほかの部下が開けるドアだが、待っている時間すら惜しいので自分で開けて下りた。


目の前には古いアパート。今にも壊れそうだ。しかし、それが今の美空の状況を証明しているようだった。


「………」

「若」


炯に頷き、一歩踏み出そうとしたとき、物凄い破壊音のようなものが聞こえてきた。それと共に男の叫び声。


「っ若!」

「………」


俺は怪我なんてすっかり忘れて音がした方に走った。


行くと、回避したかった事態が今まさに行われていた。


散らかって物が壊れている部屋の中、狭い部屋に何人もの大男。そして、その奥に……