悲しそうに眉を下げる美空。


「どうした?何に謝る?俺を騙したことか?組を裏切ったことか?」


鼻で笑いながら美空を見下ろす。
美空は、口を引き結び、唇を噛みながらしかし俯きはしなかった。


「何を言っても言い訳にしかならないよ」

「だろうな」

「でも」

「だが、俺は、こんな展開になっても気持ちは変わっていない」


俺を見つめる美空の目が揺らいだ。


俺は、続けた。


「お前を愛しているのは変わらない」

「っ」

「愛してる奴に殺されるなんて本望だ」

「………」


美空は、手元のナイフに視線を下ろした。そして意を決したのかグッと握り返した。再び上げたその目に迷いはなかった。


「………美空」

「龍さん……」


そして俺達の距離がゼロになった。