「当たり前だろ?」
「へぇー是非とも知りたいね」
「はっ貴様ごときに教えるほど安くない」
ピクッと奴の眉が動く。
「あ、そ。まぁいいや………早く殺っちゃって美空チャン」
「………」
奴の合図で美空はまた歩き出す。
銀色のナイフを握りながら、真っ直ぐと。俺は、全く動かない。
動く気もなかった。
二人の距離が縮まる。
「なぁ、美空」
奴には聞こえない美空にだけ聞こえるくらいの音量で声を出す。
美空はピクッて僅かに反応しただけだった。
「俺は、お前にならこの命、くれてやる」
「………」
「俺は、――……」
「ごめんなさい」
二人の距離が人一人分までに縮んだ。
「美空、」
「本当に、………ごめんね……」