「もう降参しちゃうの―?つまんないよ、若頭サン」
もっと修羅場にしてよ!!
と奴は喚くが、視界にも入れない。
視界には美空だけ。
「どうした?早く来いよ」
俺の挑発的な声に美空は、ゆっくりと歩き出した。
「ちょっと若頭サン!!早く銃を拾いなよ!!」
刺激的なシチュエーションを望んでいるのか、奴は喚く。
俺は、奴を睨み付け低く吐き捨てる。
「黙れ」
「あぁ?」
ピキッと奴が青筋を立てる。
「黙れ……俺が美空を撃てるわけないだろ」
ピタリと美空の足が止まった。
そして奴はニヤリと笑う。
「何?その子に情があるんだ?」
自分に無益なら切って捨ててた君が。
嘲笑うように笑う奴に俺は、鼻で笑った。