「どーも、若頭さん」

「………貴様は、」


現れた人物に俺は目を細めた。


俺と大して年は違わない。にっこりと機嫌のいい笑みを浮かべながらスーツ姿で立っている。


「何しに来た………東組組長」

「お久しぶりだね」

「何しに来たと聞いている………組長が共も無しに」


ギロリと睨み付けながら体ごと奴に向き直る。敵に背中を向けるなんて命知らずじゃないからな。


睨んでいるとクスクスと奴は笑う。


「何しにってこんな大事な日に家にいたら勿体無いからさ」

「?何の話だ」

「若頭さんは、分からないかもね………ねぇ?美空チャン」


首を動かし、俺の後ろを覗き込む。
その顔は酷く愉快そうだ。