そっとベンチを撫でる。


「そうだな………」

「色々あったね……」

「あぁ……」

「………」

「………」


沈黙が流れる。
美空が何を考えて何を思っているのか。


「………あのね、あたし龍さんに謝らなきゃいけないことがあるの」


ベンチから頭を上げて、真っ直ぐ俺を見る美空は、申し訳なさそうだった。


「あたしね………」

「……俺は、変わらない」

「え……?」

「どんな美空でも俺の気持ちは変わらない」


真っ直ぐ美空を見る。
美空は、軽く目を見開くと片手で目元を覆った。


「………、………」


ポツリと美空は、何かを呟くがそれは音にはならず風に溶けていく。


美空、と名前を呼ぼうとしたが、パキッと枝が折れる音が聞こえてきて肩越しに振り返った。