真っ直ぐ遠くを見ている美空。


「そんなことはない」

「多分、龍さんが思うような子じゃないよ?あたし」


自嘲気味に美空は、笑う。


「俺も似たようなものだ」

「?」

「俺は、生まれてからずっと裏の世界を生きてきた。使えるものは使い、使えないものは平気で切り捨て………沢山人も殺した」


ピクリと美空の肩が震えた。


「俺は自分を護るために手を染めた。」

「………殺した人は、覚えてるの」


震えながら何かに耐えながら美空は言葉を紡ぐ。


「否、覚えていない………皆、敵の組の連中だったからな」

「………え?」

「言ったろ?俺は自己防衛で銃を持つ。必然的に向けるのは他の組の連中だ」


敵の顔なんか覚えておく必要はないだろ?