チラッと下を見下ろすとばつが悪そうに美空は、視線を反らす。


「それは、………」

「俺は素直に自分の気持ちを伝えたまでだ」

「っ」

「キスもしたかったからした………どうやら俺は欲望に忠実らしい」


だんだんと美空の顔が赤く染まっていく。


「美空………お前は、俺の事をどう思っている?」


目の前の横断歩道の信号が赤くなったので足を止める。


二人並んで、俺達には僅かな隙間が出来る。それが今の俺達の埋められない距離を示しているようだった。


「………龍さんは、あたしが助けたと言ったよね」

「あぁ」


信号が青に変わる。


俺達は歩きだした。


「お前は俺を救ってくれた」

「………あたしは、そんな大層な事はしてないよ」