美空は必然と俺を見上げる形になる。
「若………もう、御勝手に」
げんなりと肩を落とす炯に俺は、美空に笑みを向けた。
「龍さん?」
「帰ろう」
じっと俺を見つめてきた美空は、少し躊躇った後小さく頷いた。
俺が一歩歩き出すと、続いて足を動かし始める。
「炯さんっ一体何を……!」
「いいから。」
「しかし、」
「和也、優斗」
後ろの方で三人の会話が小さくなっていく。
本格的に二人っきりになると、俺達の間には会話はなく、沈黙が続く。
「………急に、どうしたの?」
先に口を開いたのは美空の方だった。
「何がだ」
「歩いて帰る、とか……」
疑うような目を向けられ、俺は苦笑する。
「最近忙しくてまともに会話もなかっただろ?………避けられてたみたいだったし」