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「この忙しい中、何故、若が迎えに行くんですか」

「煩いな」


この会話はもう何度目だろうか。耳にタコが出来てしまうくらいに同じ言葉を繰り返す隣の男に俺は、もはやため息すら出ない。


「煩くなりますよ。朝のあの会話は俺の聞き間違えでしたかね?」

「あれは、本当だ」

「でしたら、早く事を進めるべきです」


美空さんの迎えは、終わってから幾らでも行けばいいのですから。


俺達を乗せた車は、美空の学校に向かっていた。


「………いいんだよ」

「?」


景色が変わり、最近見慣れたものに変わっていく。


視界の奥に、他の建物と比べ物にならないくらいのものが見えてきた。
そして、それの前に佇む姿を見つけ、我知らず頬を緩める。