あの時ほど若を馬鹿だと思った日はありませんでしたから。


「お前、俺をなんだと思ってる?」

「大切な護るべき主人だと」

「………」


本当か?とは聞けなかった。


「それで、何故、あの公園に?」

「………何となく、だ」

「は?」


何となくで人を配置出来るか、と目で責められる。
しかし、俺は、窓の外に目を移した。


「言う通りにしろ」

「命令で?」

「そうだ」


頷くと分かりましたよ、と炯が携帯を手にする。


「………時が来れば分かる」

「?何か言いました?」


耳に当てていた携帯を離し聞いてくる炯に俺は首を振る。


「否………何でもない」



ツキンと僅かに胸が痛んだ。
しかし、これは利用しなければならない。絶好のチャンス。
俺は、これで失うかもしれない。


それでも、許せないから。


人の心を弄んだ奴等が。


「………」


コツンと窓に頭を当てる。