その日は、忙しい中でも僅かに取れた自由の時間。
僅かな時間でも美空と一緒に居たくて、俺は、美空の部屋に向かった。
「美空」
桜の間から名前を呼ぶ。
「?美空」
「………」
何時まで経っても返事がないので俺は、不審に思ってゆっくりと襖を開けた。
中は真っ暗で、奥の方から明るい機械特有の明かりが見えた。
恐らく、パソコンを起動させているのだろう。暗い中でパソコンをすると目が悪くなる。注意しようと覗き込んで、しかし俺は、声を出さなかった。
「スー、……スー」
「………」
そこには、机に突っぷしながら気持ち良さそうに眠る美空の姿があった。
俺は、小さく笑みを浮かべると美空に足音を立てないように忍び足で近づく。